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前置きしておく。今日の記事は気持ち悪い。そして長い。いや、一気に書いた訳じゃない。書き溜めておいたものを遂に公開する時が来たのじゃよ。
泣いた。いい歳したオッサンが夜中にアニメ見ながらガチで大泣きした。もうこの曲ずるいよ。とんでもなくいい曲。シチュがわからん人のために説明すると、たった5人だけの軽音楽部。4人が3年生で来年からは一人だけになる、その卒業式の日にたった一人の後輩に向けて歌った歌。『「大好き」って言うなら「大大好き」って返すよ』 こんな詞書けるか?
最終回「卒業式!」の内容には賛否両論なようですが、あんなもんだよ卒業式って。卒業する方は結構サバサバしてて、むしろ送り出す先生やら後輩の方が悲しかったりする。
ついに終わってしまった「けいおん!!」。DVDのみならず、作中で歌われるCDもバカ売れ。なんか韓国の集団がオリコン4位だ!って大騒ぎしてましたけど、その週の3位は「けいおん!!」関連でっせ。
今までちゃんと見たアニメは、ファーストガンダムとエヴァだけ。まるでアニメに関心の無かった30代半ばのオッサンが、なぜにこの作品にハマってしまったか。以下、「けいおん」評なのでありまする。
えっ?「やっぱり気持ち悪い」って?うん、それはしゃあない。でも、 GLAYのヒサシも、TMレボリューションもツイッターでけいおんのこと書いてたけどなw
http://twitter.com/HISASHI_/status/24492248208
http://twitter.com/TMR15/status/24491575832
・何も起きない
ただ、だらだらと日常が描かれる。でもそれが正しいことを、見てる側が経験則として知っている。
親や外部の人に「学生時代の思い出」を問われるならば、学園祭なり修学旅行なり、そんな分かりやすいイベントを答えてしまう。
でも、実際は違う。(これは同意者多数だろ?w )それは理解力の無い大人に対して、あえて分かりやすく例を挙げただけの話であって、本当は日常の何気ない会話にこそ、なんでもない日のくだらないやり取りこそ、日付が意味を持たない日にこそ、学生時代のいい思い出、後から思い返して笑える思い出はある。いちいちそれを説明するのがめんどくさいから、学生は大人に修学旅行や学園祭を語る。これはホント。気付くか気付かないかだけの違い。
そして、「だらだら」でなく、「丹念に」描かれてることに気が付いた時、この作品の優しさ、作り手の愛情が見えて感動した。
・だからこそ学生時代は美しい
「戻れるものなら戻りたい」 いじめられっ子以外、全ての大人が持つ感覚。同じ笑い、同じ喜びでも、社会人になってからよりも学生時代が輝いて見える。
無限の可能性があるから、・・・それは疑いようもなく幻想なのだけれど、誰しもあの頃に戻りたいと思ってしまうメモリー。
中学校も3年。高校も3年。どんなに楽しい時間でも、ピリオドは明確に、しかも前もって打たれてる。ゴールがある世界だからこそ、社会人と違った世界観が存在し得る。「あぁ、こんなに楽しい時もあともう少しで終わるんだ・・・」が常にある。
・オーバーサイズの物を持った(着た)女の子はカワイイ
あれですよ、あれ。昔よく言われた「男物のワイシャツをパジャマ代わりに着た女はカワイイ」ってヤツ。それの延長。
何のことか、っちゅうと楽器。
基本、弦楽器はfor menです。もちろんドラムもね。男向けにできてる物だから、必然的に女の子のバンドっちゅうのは画的にカワイクなる。重たそうな物を必死に持ってる姿が意識せずとも出来あがる。特に俺みたいに、ギターもベースも齧った人にはストライク。で、この「けいおん!」の可愛らしさは、犬とか猫に対して本能的に感じる可愛らしさに近い。
・集団に対して「誰が好みか」を探してしまう
これはたぶん男も女も本能。女性が「SMAPで誰が好みか」、「嵐で誰が好みか」、を訊かれなくとも考えてしまうように、男も「AKB48で誰がタイプか」をついつい探してしまう。一人でなく集団で見せられるからこそ起こる心理。そして・・・
・見事にタイプ分けができてる
原作は4コマ漫画。だから当たり前と言えば当たり前なのだけど、登場人物が異常に少ない。メインキャラでたったの9人。しかも、その9人以外はほぼ出てこない、出てもセリフが無い。
でも、その9人のキャラが完全に立ってる。「術中に嵌る」とはこのことなのだろうけど、見事なまでに色分けが出来てる。断言すれば、「この中で誰にも興味が無い男などいない!」と言いきれる。
・日本の商業作家のクオリティーは異常
30代にとって、今も心に残る歌はきっと80年代のもの。それは「いつ聴いたか」が問題なのでなく、実は単にクオリティーの問題。プロが作品を作り、アイドルという素人がそれを表現していたのが80年代。90年代は、ミュージシャンという免罪符に隠れ、プロばかりでなく、ド素人までプロ面で曲を出した時代。
で、その商業作家 イコール プロ にしてみれば暗黒の時代に、唯一作品を発表でき、しかも一定のマーケットが存在したのがアニメ市場。これは疑いの余地なし。
もとから、その辺のインチキミュージシャンよりか遥かに作曲能力は高い。
正直なめてかかってただけに、あまりのクオリティーに驚いた。AKBとかが歌ってる曲より遥かにいい。
・初めからアニメ化を狙った?
「女子高生バンドが主役」となったら、間違いなく漫画よりもアニメ向けになる。だって妄想の世界だけでなく、実際に音楽が表現できるんだもの。しかも、上記のようにプロが本気で手掛けた楽曲で。
・実にオタ向け・・・?
・わざとダサい私服
・わざと登場しない男キャラ
となったら、あざといまでにオタ向け。
・・・でもな、それだけじゃないと思うんだなぁ。
男たるもの、自分の娘にはこんな風に育ってほしいと思うものなのだよ。
元気で、まっすぐで、明るくて、純粋で、こんな子になってほしいと願うものなのだよ。
こんな女子高生がいないことも、こんな世界が無いことも重々知りながら、それでも「こんな学校生活を送りたかった」、「こんな友達がほしかった」、そして「こんな子に育ってほしい」と思わせる力があった作品ですよ。
だから、続編を望む声が多いのはよくわかる。本当によくわかる。
これほど優しさに満ち溢れた世界なんてそうそうないし、これだけキャラも世界も確立されてるのに、あっさり終わらすには勿体無い気もする。
でも、終わるからこそ学生生活で、だからこそ一瞬一瞬が美しいのだよ。このままずっといたい気持ちと、流れる時間に逆らえない切なさと、その二つがあるからここまでいい作品になったんだ。違うかな?
で、往々にして輝きは戻らない。学生時代の友達に久しぶりに会ったとて、昔みたいな空気にはなれない。わかるっしょ?
そして、大学生になった主人公達は見たくない。いくらアニメでも大学生ともなれば、そろそろ男っ気を交えないと白々しくなる。卒業後に再会した学生時代の友達に感じる違和感の正体はこれなのだよ。結婚してたり、子供がいたり、どこかが決定的にずれるから、いつまでもあの日のままじゃいられなくなるのだ。
だからこのままスッパリ終われ。下手にスピンオフとかやってくれるな。
そして、こんなに優しくて温かい作品を作ってくれた作者、スタッフ、声優、全ての皆さんに感謝。皆さんが作りだそうとしたものは、30代のオッサンにもしっかり伝わりました。1期の最終回をたまたま見て、真剣に見始めたのは2期からでしたが、どの番組よりも毎週毎週楽しみでした。本当にありがとう。